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■先人たちの知恵を受け継ぐ…天然の接着剤 |
昨今、各建材メーカーが主としてホルムアルデヒドの含有量の低い商品を発表しています。無添加住宅ではこれら有害物質を一切使用していない、昔ながらの天然の接着剤を使用しています。これらの接着剤は、普段私達が口にしているものからできています。 |
■接着剤の歴史 |
旧約聖書『創世記』の中ではノアの方舟やバベルの塔の防水にアスファルトが接着剤、シーリング剤として使われていたという記述がある。又、紀元前3000年ごろウル(現在のイラク)では「ウルの軍旗」呼ばれる木造物に、貝や石灰石のモザイクがアスファルトで接着されていたそうである。その他、古代エジプトではパピルスをつなぐのにアカキアニロティカという木の樹液が使われていたという。このように接着という考えは紀元前という遠い昔からあった技術であることがわかります。 |
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日本では、平安時代に米のりを利用して手紙の封をしたり、屏風や御張を作る粘料、漆器を塗る際に使ったという記述があります。膠(ニカワ)などもこのころ登場しますが、高価だったので日本では米のりが普及しました。 |
そして、米のり、膠(ニカワ)、蝋(ロウ)、鳥もち、漆(うるし)、漆喰(しっくい)、アスファルトなどの天然物接着剤は、平安時代には基本的には完成の域に達していて、その後明治の文明開化までは新しい接着剤が外国から紹介されることもなくこれらの伝統的な接着剤がより磨きをかけられ生活の中に広く浸透していきました。
このように今世紀初頭までは外国をみても、天然産である、樹脂、ゴム、たんぱく質、れき青質、デンプンなどを接着剤として多用してきましたが、合成樹脂、合成ゴムの出現により、接着業界は大きく塗り替えらました。これらは接着剤の高性能化、大量生産化、工業利用を飛躍的に推し進め、1900年には合板、波型紙ボードの誕生、1930年には粘着テープの出現、1940年には航空機へ接着剤が導入されました。1950年にはエポキシ樹脂系接着剤が登場、機械、金属分野での接着剤の利用が一段と加速されました。これら大量生産の時代に出現した接着剤が今、シックハウス症候群の原因になっています。 |
■米のり |
昔一番よく使われていた接着剤は米からできた米のりです。昔の大工さんは、ご飯を木板の上で竹ベラでこねる事が仕事のはじまりで、その接着力はものすごく、実験でも木工用ポンドと同じくらいの強度があるそうです。
無添加住宅では集成材の接着に使用しており、防カビ効果として酢酸を混合しています。 |
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■米糊(のり)のつくり方 |
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湯呑みに米の粉を一杯分入れる。その湯呑みで四杯分の水を鍋に入れ、米の粉を溶く。ゆっくり混ぜながら煮る。透き通る感じになるまで煮る。 *水の量を変えて、糊の柔らかさを調節できる。 *米の粉の中に、糯の粉や小麦粉を少し混ぜて、粘り気を増してもよい。 ★白米を茶碗に入れ、水を一杯に張る。毎日、水を交換する(腐るのを防ぐ)。一週間ほど続ける。
米の中に充分水が染み込んでから、ミキサーにかける(少量ずつ)。それを煮てもよい⇒きめの細かい最良の米糊ができます。
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■ぎんなん草 |
ぎんなん草は海藻の一種で、これを煮た液が、「ふのり」といわれるものです。
ふのりは、接着力が弱く水に大変溶けやすいのが特徴です。この特徽を利用したものが障子ののりです。水に濡れるとたちまちに溶けて、非常に容易に剥がせるのです。 |
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■にかわ |
にかわは、動物の骨や皮を煮て精製してできるゼラチンで、にかわ=ゼラチン=コラーゲンでもあります。現在では、食品・化粧品などに広く利用されています。また、にかわは高温では液状ですが低温ではタンパク質が固まる性質で固形になります。これを淡めてジュースを入れたものがゼリーとなります。
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膠の粉を鍋にかけ、湯煎するとすぐドロドロの粘性状態になり、これを木材どうし接着させますと米のりは接着するまでに1日以上かかりますが、30秒〜1分で完全に硬化し、固まるので天然の速乾接着剤になります。
このにかわは、無添加住宅ではフローリングの取付けや下の写真のように根太・大引きといった下地材等の接着に使用しています。工事中にはタンパク質の煮た臭いがしますが、体に害はありません。 |
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