新建材との決別
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その昔、私は某ゼネコンでビルやマンションの設計を行っていました。住宅と違い、このような建物は実際の住む方とのお話ができなくて、ビルやマンションのオーナーさんとお話しすることが多いのです。そうすると、住んでいる人の気持ちがあまり伝わってこず、デザインや間取りも一方通行になることが多く、その当時は接着剤や塗料、石油製品といった新建材が当たり前でした。素材は、機能性とコストばかりを追求し、それを満足させることが最高のものと思っていました。
やがて、住宅の設計に携わり、実際住まわれるお客様と直接ご意見やご感想を聞くようになりました。その当時はシックハウスという言葉や自然素材という言葉が少し耳にするようになった頃でした。新建材も価格競争で限界を感じていた私は、これからは自然素材の路線で行こうと決意はしたものの建材業界では、まだまだ高価なものだし、施工も誰もが試したこともなかったので、うまくいくかどうかもわからないままでした。
秋田憲司氏との出会い
そんな2000年冬に、無添加住宅の開発者である「秋田憲司」氏と出会い、私が当時在籍していた会社は無添加住宅正規代理店第1号として歩き始めることとなりました。
その時、今までやっていたことが根底から覆されるようなことが次々と知ることとなり、私の頭の中は真っ白になってしまいました。建築は建築学的に考えるのが当たり前であったのが、生物や化学といった切り口で建築を考えているということに感銘を受けました。
「コンクリートが自然素材でしかも木よりコンクリートの方が体にやさしい」というのです。私はわけがわからなくなりました。しかし、思い起こせば、大学生の時、安藤忠雄氏の講演会で「コンクリートは天然素材だ」と聞いたことがありました。もしかすると・・・と思い、秋田氏に深く訳を聞くと、「無機物と有機物のちがいってわかりますか?」と聞かれました。私は、正直、答えることができませんでした。「無機物は石などのように何も発しませんが、有機物は自ら身を守ろうとして何か発しているんですよ(中には例外はありますが)」と答えられました。「なるほど!」と思い、これが無添加住宅に没頭するきっかけとなる始まりでした。それからは、この法則を基に素材を判別すると、とても明快な答えが出てくるではないですか。
化学物質過敏症の方との出会い
私が無添加住宅の仕事に携わった初めてのお客様というのは、 シックハウス症候群対応の新築分譲マンションを購入したが、体の調子が悪くなる一方で、リフォームをして室内の環境を改善したいという方でした。このマンションは、シックハウス対応と名ばかりで、法律で定められているホルムアルデヒドの規制を考慮しているということだけで、自然素材は使用せず、新建材ばかりで構成されていました。私は秋田氏から聞いた法則と無添加住宅の素材でなんとか完成させ、症状も改善することができました。この瞬間、今までには体験したこともない達成感と感動を覚えました。お客様が心底喜ばれるということは、こういうことなのか・・・また、法律は何も守ってくれず、最新の新建材にも勝ったという心も同時に覚えました。
やがてシックハウス症候群や化学物質過敏症の方が来られると必ず私がご相談させていただくこととなり、ある日、重度のアトピー性皮膚炎と化学物質過敏症を併発されたお客様が来られ、この方も新築分譲マンションを購入したが、症状がどんどん悪化し、改善したいというのです。お顔は大変失礼ながら、症状がとてもひどく、ご結婚当時のお写真を拝見させていただくと、あまりにもそれは変わりようで、一日でも早く改善させてあげたいという気持ちでいっぱいでした。その後無事、工事を終えたのですが、すぐには住まわれず、私はその方の症状が気になって仕方がありませんでした。数ヶ月が経ち、一通のお電話があり、「とても症状が良くなり、お顔も写メールを送りたいほど改善された」というのです。私は、この一報に涙が自然と溢れてきました。
本当のことを早く知って、気づいて欲しい
やはり、世の中の人を苦しめている新建材を使わない。また、法律どおりやっていれば大丈夫という安易な考えも捨てました。
今では、色んな法律や経済の仕組み等が絡んで、最新鋭の住宅がお客さまにとって本当に良いものか。お客様は、一体何を信じて家を購入すれば良いのか早く知って欲しい。永久に長く持つ家はもう果たして無いものか。ということを日夜考えながら、この無添加住宅を一人でも多くの人に知っていただき、一人でも多くの人に住んでもらいたいと願っております。